時々夢を見るある光景がある。円錐形が二つ上下に大きく広がっていて、この交差する所に人がいる図である。上に広がる一つ目の円錐形は地球の生態系で、その上の円錐形は宇宙銀河系。下に広がる一つ目の円錐形は人体の生態系で、その下は分子レベルの小宇宙である。要は、人は上下に果てしない宇宙を持っている。巨大さと同時に極小さも、同等の価値がある事が解る。連綿と繋がる歴史の中で人類が誕生したのはつい最近の事だが、人の周りには人間社会なるものが水平に広がっている。「ああすれば、こうなる」と思い込んでいる人々の集まりである。
上下に広がる生態系やマクロ、ミクロの宇宙につきそのほんの一部が解明されつつあるが、まだ殆どは分かっていない。生態系とは自然の営みであり、複雑系である。人は水平に広がる人間社会に属するが、人間社会も生態系の一部である事に避けようが無く、その大きな営みの影響をもろに受ける。人類とウイルスとの攻防は都市化と共に加速して来たようだ。ウイルスは図の一番下の円錐形である分子生態系に属すると思われるが、人類社会に鋭い矛先を突き付けている。地球温暖化もウイルスとの攻防も、自然の大いなる営みのキックバックとも言われる。だが、それを予見したかの様な傲慢な態度で、温暖化への責任転嫁が行われたり、ウイルスに勝つと息巻いていたりする。しかし結局のところ大きなダメージを受けつつある。自然界や生態系の出来事は、「ああすれば、こうなる」、と言う訳にはゆかないのである。
ウイルスは知能を持って人類と敵対している訳ではない。ただ寄生主の体内に入り込み増殖を繰り返すのが仕事なだけである。人類の節度ない自然破壊で、様々な動物に寄生しているものが、人間社会に現れ出てしまった。人類のある一定数の命を奪い一旦は終結するだろうが、再び訪れるサイクルが短期化し、昔は100年毎、その後十年毎、今後は数年毎の頻度になるという。2020年の元旦にはこの様な事態は全く予想もつかない事だったが、実はSAASもMARSも数年前には経験しており、ただ我が国に影響が軽微で対策もおざなりにされてしまった。歴史を振り返ると、100年前のスペイン風邪の全世界的な猛威の記録が、今回の新型コロナウイルスの症状と酷似しているらしい。当時、現在と全く同じ様な「三密」を避ける事が新聞で謳われていて悲しい思いがした。現代の世界の叡智を結集させ研究がおこなわれている筈なのに、全く進歩が見られないのは何故なのだろう?俄かには理解しがたい。
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