リモートワークが急速に進展している。我々のエグゼクティブサーチの仕事の本質は、「生身の人の生き方に触れそれに寄り添うこと」と理解して来た。ところがこの環境である。
出来るだけ直接会わない様に、との事である。これは参ったな、と思った。
ビデオ会議で困るのは、人の息吹、圧感、所作の美しさ、手の動きと頭の回転との関係、人の匂い、肌の健康状態や人の勢いなどが分かりにくいことである。
通常の会議の一メンバーとして参加され、課題や施策に対するディスカッションをしたり、会議に貢献するのであればまだ良い。しかし、個人対個人で接し、その方に寄り添ったり、その方をクライアントに自信を持って紹介したり、本当に信頼すべきクライアントか、などを判断するとなると話は別である。
ビデオ会議の専門家は多くいらっしゃるが、私なりのビデオ会議の留意点を述べてみることにする。
1服装や身嗜みで相手への敬意を損なわない様に気を使うのは、基本である。
より視覚で判断せざるを得ない形となり、直接会うよりも服装や身嗜みが目立ってしまう。全体像が映らないからである。
2パソコンのカメラ位置と目線を合わせる。
よく指摘されるが、カメラ位置が顔を下から覗き込む形となり、異様にカメラに顔を近づける傾向もいただけない。
カメラと目線を合わせ下目使いには見ない様に心掛ける。
3上半身全体が映り込む様に工夫する。
所作や手の表情は大変重要であり、背筋を伸ばし上半身全体が映り込む様工夫する。
4背景のトーンをシックなものにする。
顔だけ浮き上がらせ画面背景をぼかす機能もあるが、ビデオ会議が主流になる訳なので、出来れば少々部屋を整理し、手間をかけたほうがよい。
海外とのビデオ会議では背景に書斎らしい工夫があり感心する。背景のトーンをシックにすることで本人まで知的に見える。
5声色は重要だが、出来ればマイクとスピーカーを工夫する。
声色や声のトーンは重要で、画像データと共にその方のイメージを形成する。出来れば専用のマイクとスピーカーを別途調達したい。
6特に重要なポイントは、小声で語尾をはっきりとゆっくりと喋るよう注意する。
これはビデオ会議でなくとも重要だが、本当に伝えたい事は「小声で語尾をはっきりと伝える」と効果的である。
などなどである。
テクノロジーは重要である。が、特に「五感」が十分に伝わらないことなど、常に限界がある事を深く理解しなければならない。それにも増して、「六感」の領域を感じ取れるところが本来の人間の能力であることを心に刻んで置く必要がある。
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