自分にとっての最重要課題が見極められれば、しめたものだ。他の事は後回しにして、その実行に必要な戦略と戦術を考え、タイムラインに沿って優先順位を付け、実行に集中すれば良い。しかし、その見極めが難しい。多くの人は付属的な事を最重要課題と思い込み、間違った方向に努力してしまう。間違った方向に真面目に真摯に努力しているのを見るのは辛い。見極めの一つのヒントとして、最も難しく、最も面倒で、最も楽では無い道を選ぶのが正解だ、というある作家の言葉は前回紹介した。
効率とコストダウンが求められる昨今の「味気ない」風潮や、中身のない働き方改革とは真反対である。例えば、シニア世代の再就職に冬の時代が来ている、との報道がある。大企業での調整役をマネジメントと勘違いてして定年を迎えると、他の環境でも通用する高度の専門性(Proven Skillsと呼ぶ)は期待出来ない。まして、60代、70代は、半独立した小所帯での仕事にならざるを得ない。高度な専門性と気力、体力が前提となる。
従って、中年世代の人々にとっては、経営職としての専門性を含む各分野で専門性を高める努力をしておかないと、生き抜けないこととなる。専門性を高めるとは、様々な環境で通用するProven Skillsを付けることに他ならない。これは、どの様な仕事分野でも共通している。これは最重要課題の候補の一つだろう。
最重要課題を見つける為には、他に重要なことが一つある。それは、自分にとって「価値がある仕事とは何か?」が分かっている、ということだ。これが会社や社会にとっても価値ある仕事ならば尚良い。これは意外な盲点である。これが分からないと、最重要課題を絞り込むことは出来ない。何故なら、これがその仕事の専門性を更に高めようと言う最大のモチベーションとなり、絞り込んだ最重要課題に邁進する強力なエンジンとなるからである。
様々な事柄を同時に、しかも高い品質でこなせるのは一部の天才である。我々凡夫は凡夫なりに、出来るだけシンプルで分かり易い目標に絞り、それに向かって脇目も振らず努力する必要がある。そうすると、ある段階で凡人のたどり得ない境地に達する場合がある。それは数々の歴史上の人物が証明している。
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