同じ事を行なっても、相手側から感謝される人と、当然と見做される人が存在する。この両者には大きな隔たりがある。これはビジネスでもプライベートを問わず見られる厄介な問題で、出来れば前者でありたいと思う。
これには、本人の資質、能力、人柄、相手側との関係性など様々な要因が考えられるのだが、根底には、「伝わる様に伝える」という努力を怠っている事が大きいのではないか、と最近考えている。
これはどういう事かと言うと、受け手側は分かりたいようにしか理解しないし、発信側は喋りたい様にしか喋っていない、という基本的なすれ違いが圧倒的に多いのではないか、と思うからだ。
人が理解して行動に移すには、三段階のステップを踏むと言われている。「理解」「納得」「信頼」の3ステップである。最初の「理解」だが、これも一度のプレゼンでの理解度は30%と言われ、自分が思っている程相手は理解していない。手を変え品を変え、何回か説明する必要がある。次の「納得」だが、あっ、あなたの言いたい事はこれだったんですね、と相手が自分ごととして分かるステージである。最後の「信頼」とは、相手の言っている事が何か別の体験と符合したり、説得の為にそこまで努力してくれたんだ、と感心させたりしながら、次第に醸成されるステージで、この段階に来ると、聞き手側の体の一部に触れる事が出来る、と言われている。この最終段階に到達して初めて、相手側は行動を起こすというのである。
上記は人の理解のステップを示唆するものだが、伝え方に様々な工夫が必要だ。
1 相手の現在の状況を調べ、或いは推測し、それに応じて、話す内容や仕方を工夫する。
2 個人的な意見では無く、客観的な情報ソースで裏付ける。
3 具体と抽象を織り交ぜて話す。図示する。
4 エピソードが相手の琴線に触れる様、工夫する。
5 提案内容を実践した具体例を示し、障害要因とその克服経緯などを織り交ぜて臨場感を演出する。
6 相手からの質問に耳を澄ましその真意を理解さる。などなど。
「伝わる様に伝える」のは容易ではないが、これが出来るか否かで、大きく言うと人生が変わる程の重要なスキルだと痛感する。
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