1 二つのタイプ
最近になって気付いたのだが、人には常にチャレンジしないと息が詰まってしまうタイプと、安定が確保されて初めて本来の力を発揮するタイプがある様だ。どちらに優劣がある訳ではないのだが、私は後者に属する方々の方が多いという事が今まで理解出来ていなかった。
2 その人にとってのチャレンジ
冒頭の言葉は、電車のつり革広告に書かれていたのだが、少々狼狽した。リーダーは常に自分やチームにとってのチャレンジとは何か?を念頭に仕事に取り組む環境を整えていく責任がある。それが実行されていないのである。チャレンジや冒険によって我々の発想は広がってゆく。それと共にチャンスも広がる。確かにリスクもあるが、リスクを取らずに成功しようとしても無理がある。しかしその実践はなかなか難しい。何故なら、多くはチームの仕事であり、各人にとって頑張れるチャレンジの度合いが異なるからだ。あまり高い目標を設定すると、諦めてしまう者が現れる。低い目標設定ではなくぎりぎり頑張れる丁度良い頃合いが難しい。皆にとってChallengeableでかつAttainableな目標設定度合いと、会社にとってのそれとが、矛盾がない様に同じ方向に向いているのが望ましい。
3 ワクワク感とチマチマ病
冒険というニュアンスは別の要素を含んでいる。「冒険の旅に出る」という言葉があるように、同じチャレンジでも全く違う環境への旅、という要素だ。これは仕事で考えると、海外出張などである成果を出すとか、別会社で自分の力試しをするとかの実質的なもの、発想やコンセプトの飛躍という内面的なものの二種類がある。要するに「非日常の体験」である。あともう一つ大切なのが、冒険という言葉に含まれているワクワク感である。仕事は本来楽しく厳しいものだ。仕事の環境にこれらの要素を上手く盛り込めれば、リーダーとしては一流だと言えるのではないだろうか?
社内のルールや業務プロセスが標準化されていない、などのガバナンスやセキュリティを充実させておかないと、更なる成長は望めない、また、大企業のクライアントとは付き合えないなどの、マネジメント課題と向き合う必要のあるフェーズが企業にはある。それらの規律やルールの導入は、企業の陥りがちなリスクを避けたり、更なる成長を遂げるのが目的である。しかし、これらの決め事は、社員の活力を奪い、チマチマ病に陥る危険性を孕んでいる。ルールさえ守れば、顧客に価値が提供出来なくとも良い、という様な本末転倒の輩を輩出してしまうのである。会社のダイナミズムは、人材のダイナミズムに依っている。チマチマした発想や行動からは、チマチマした結果しか期待出来ない。スティーブ・ジョブズのメッセージ Stay Hungry, Stay Foolish.はそういう意味を込めている。
4 迷ったら難しい方を選択する。
何を無茶な、と立腹される方もいるだろう。しかしこれは真理である。自身の持てるスキルや経験で、カバー出来る範囲の仕事を無難にこなして渡って行けるほど、世間は甘く無い。心に手を当てて、ご自身の人生を振り返ってみればわかる事である。自分を成長させて来たもの、自分の成長を阻んだものに気付かれる筈だ。私共の候補者やクライアントの過去の事例を振り返っても、あの逆境からよくも挽回出来たなという事が、結果、その方々の成長に繋がっている事が多いのである。
5 身の回りから始めてみよう!
「隗より始めよ」に習い、自分の身の回りに小さなチャレンジや冒険から始めてみよう。何かワクワク感があるチャレンジはないだろうか?例えば、私の仕事の場合、志のある候補者や有望なクライアントから、是非弊社にお願いしたいと継続的に適切な案件量の要請を受ける様な状態がビジネス的には望ましいのだが、この様な事が自動的に出来てしまうと、逆に遣り甲斐を失ってしまうかも知れない。これはチャレンジでも何でもない。ただ楽をしたいというに過ぎない。
難しい、遣り甲斐のある選択をするのだった。IT業界の有志を束ね、GAFA軍団に対抗しうる団体の設立をInitiateし、その団体の経営陣をお世話する、というのはどうか?その前提として、これから10年間75歳まで、バリバリの現役として、この仕事の集大成をするというのも、チャレンジであり遣り甲斐もある事かも知れない。シニア世代にとり、残り少ないビジネス人生を、どの様に充実させるか?これは、万人に取り大きな課題である。10年間などはあっという間である。
6 感受性と老け方の関係性
シニアが若者に比べて時間が速く過ぎる様に感じるのは何故か?NHKの「チコちゃんに叱られる」で面白い指摘があった。日々の出来事に対する感受性が鈍っている事が原因らしい。喜怒哀楽をあまり感じないで暮らしていると、時間が速く過ぎるのだそうだ。と言うことは、老けるのも速い訳である。これは、面白い指摘だ。時間単位での充実感の蓄積が、若さを保つ秘訣なのかも知れない。必ずしも、ボーッとしているとまずい訳ではなく、メリハリが重要なのではないか?と私は考える。
チャレンジし甲斐のある仕事を、日々溌剌とこなし喜怒哀楽を素直に表現して、バタンキュー出来れば理想的だが、そういう終息を目指したいと思う。
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