魅力があること、これは人にとって永遠のテーマである。年齢、容貌や容姿などの美醜あるいは能力などに拘らず魅力は確実に存在する。この様な事を分析するのは野暮なのだが、こういうビジネスに身を置いていることもあり、以前から気になっていた。ある人にはあり、無い人には無いようにも見える。その本質的なものは何か?について考えてみたい。我々の観点は、まずリーダー人材の魅力についてとなる。魅力があったからリーダーになったのか、リーダーになって魅力ある人物になったのか、と言う様なことである。魅力には先天性と後天性がある。また、後天的なものの中には、「大人の魅力」というなかなか味のあるジャンルも存在する。
リーダー人材について過去を振り返り、分かりやすい例を挙げてみよう。一時期のソ連にはゴルバチョフという魅力的な首相がいて、それまでの国のイメージと国際地図を塗り替えた。チャーミングでユーモラスな容姿、明るく人懐っこい物腰、時代を変える!という志などなかなか魅力的だった。また、米国のブッシュ大統領を支えたライス国務長官。独特な容姿、頭の良さとコミュニケーション能力、忠誠心で圧倒的な存在感を示していた。もと国連高等難民弁務官だった緒方貞子女史。この方の魅力や存在感については大方の賛同が得られるだろう。特に国際的に責任ある立場にある人物にとって、国を背負った難しい交渉や微妙な均衡感の中で、「魅力がある」というこの資質は一つの免罪符であり掛け替えが無いことが解る。
本質的な要素を抜き出すとすれば、
・常識に囚われない独自のスタイル(個性)を持っており、存在感があること。
・コミュニケーション能力に長けていること。
・何か重いものを背中に背負っていること。
の3点が挙げられるだろうか?3点目については、議論の分かれるところだろう。何か重いものとは、仕事に限らず、困難から逃げずに正面から立ち向かって来た個人の歴史は、人に伝わらざるを得ないのである。更にもう一点挙げるとすれば、それは自分のファンを作り、「人を感動させ動かす力」である。これはある意味理屈を超えている。魅力ある人の周りには人が集まってしまうのである。その人々を自分の言葉で感動させ人を動かす力を、魅力あるリーダー人材は例外なく持っている。
著名人の考察はこれとして、市井の普通の人々にも勿論魅力ある方々は存在する。第一印象で好印象を獲得される方々である。まずは健康的な肢体。これはやはり重要で誤魔化しが効かない。姿勢、顔色、笑顔からこぼれる白い歯、内からの高いエネルギーや志などである。そして何と言っても、正しい言葉遣い、親切で折り目正しい物腰、人生に対する誠実な受け止め方、弱き立場へのさり気ない気配り、自然な向上心、といったものに人々は必ず魅力を感じる。特に正しい言葉遣いについては、昨今日本では乱れ方が著しく、美しく節度ある日本語が操れる方は非常に目立つことになる。マイフェアレディのイライザがヒギンズ教授から徹底的に訓練を受けるのは、言葉遣いであり、話すマナーであった。知的な会話が出来ないとせっかくの美貌も、スタイルも、ファッションも台無しである。この基礎的な知性や教養ほど人を魅力的に見せるものはない。これは時代が変遷しても全く変わることのない真実である。
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