最近、当たり前のことかもしれないが、深く会得したことがある。
やはり、短期間での転職はお勧めできないということである。なんだ、そんなこと判っているという諸兄も多いと思う。ただ、このビジネスを始めて11年、何千人という候補者に会って来て、やはりそうなのである。中には、特別な事情で止むに止まれずという例も多く、情状酌量の余地大いにあり、また、経営管理職の場合、期待される成果の大きさと求められる期限を考えると2~3年で転職というケースも多いであろうことも承知で申し上げている。やはり短期間での転職はNo Excuseである。
「石の上にも3年」と古人はよく言ったものだと感心するのだが、何事もどんな職業でもある区切りのある仕事のサイクルを通して、人の信頼を得てある成果を収めようとすれば、最低3年はかかる事に深く関連している。3年以内に転職を繰り返しているのは、結局、ひと固まりの仕事を途中で放棄している事になり、何事も達成しないか、ある成功体験や失敗体験を通して、自分を深く内省してみる機会を逸していることがほとんどなのではないだろうか?
仕事の短期的な目標があり、プランをつくり承認を取って、限られたリソースと期限の中で目標達成の為に努力をする。最初のトライアルとはこんな感じかと思う。その功罪が明らかになるのが、1年から1年半。そこからの内省を糧に次のステップに進む。反省点としては、リソースが足りないというよりも、今あるリソースを最大限に使い尽くすことが出来ていないケースが多い。所謂、仕事の技術、スキルとかよりも、達成する信念や粘り強さだったり、人からの協力を如何に得ることが出来るか、リーダーならば、どう人を動機付け出来るか等によっていることが多いと思う。デッドロックや四面楚歌になっている時に、思わぬ人からの援助を受けることがある。それは、自分にとっての弱者(部下や業者の方々)であるケースも多いところが世の中の面白さである。・・・やはりピープル・マネジメント力というものは底知れない力を持っている。また、「ああ、あの人に助けられた」という実体験がその人自身を成長させる。助けた側も同様に成長を遂げることが出来る。そのプロジェクトのある区切りが、3年である。
人は自己を成長させる為に仕事をしているのか?と思う事が時々ある。自分が成長出来れば人も成長させることができる。それが企業の成長に繋がる。こんなシンプルな当たり前のことなのであるが、やるとなるとなかなか大変である。
3年以内の転職を繰り返すと、自分は努力し最善を尽くした(という思い込みかもしれない・・・)が結果が伴わなかったという事が連続することになり、知らず知らずのうちに、「自分は悪くない、周りが悪い・・・」という発想が頭をもたげる。これが恐いのである。よく職務経歴書に従ってインタビューする際、候補者の方に典型的なこういうタイプが存在する。このタイプをクライアントの人事採用責任者は大変警戒する訳である。この習性は、人にこびり付いてしまう。払っても払っても取れないのである。
この失敗には環境要因もあるが、自分自身としての反省点としては、これこれで、今後同じ様な局面に遭遇した際には、こう改善してゆきたい、という様なコメントが出てくればまだ良いのであるが・・・
もし不遇の3年であったとしても、その不遇から学ぶべき点は多い。だめな上司、優秀すぎるが冷たい上司、ノンブランドな為に案件開拓に苦労する日々、プロジェクト・マネジメントが稚拙だった為に、最後の最後でトラブルが出てしまったプロジェクト、いろいろである。問題はその功罪を客観的にレビューできるか否かである。それが、その人の成長を決定づける。
3年以内に転職を考えている方、ちょっと考えなおしてみる価値は十分にあると思う。
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