今日は、昨今の情勢下で、遅まきながら気付いた点をご披露したい。
多くのブランド品なり高級嗜好品の中に、品質も抜群であるが、高価格のものが存在する。それを維持する為のブランド戦略やコスト戦略の本が本屋には所狭しと並んでいる。多くの企業でも、他社に圧倒的な差別化をし、高価格戦略で利益を確保したい、確固たるブランドを確立したい・・・という根強い渇望がある。当社業界でも小粒ながらピリッと辛い高品質なサービスを高価格で販売できてこそ一流コンサルタント・・・の様な風潮が今も存在している。
さて、ある事例を通して、最近それが正しいのだろうか?これは供給者側の理論ではないか?・・・という疑問を持った。多くのビジネスの場合、顧客層は本当に「抜群のサービスで高価格なもの」を許容するのか?という疑問である。昨今、多くの人々は、今の自分(会社)あるいは環境が世間に照らして「平均点よりも少し上である事」に満足するそうだ。という事は、受けるサービスや製品品質も「平均点より少し上」程度であれば許容されるのでは無いか?という仮説である。但し、周りの環境に比べ、自分や自分の会社が「平均点より少し下」であることには耐えがたいらしい。所謂、横並び意識である。「平均点よりずっと上である事にはあまり執着せず、平均点以下である事には耐えられない」、これが真実に近いのではないか、という観点である。
その仮定に立つと、供給側の営業戦略は一変する。現在受けているサービスや待遇が、世間並み以下である事を顧客に徹底的に認識させることで、新規ビジネスが成立するごとを改めて強く認識するようになる訳である。購買におけるスウィッチ・コストや取引コストを越えて、顧客にある購買行動を起こさせる為に、我々は往々にして平均点よりずっと上のサービスの提供に邁進したがるが、過剰品質になっており、コスト増の原因になり利益を圧迫している事が多いのかもしれない。実はそれよりも顧客をよく観察し、現状が如何に平均点以下であるかを、手を替え品を替え納得させる事が重要であり、その後に「平均点より少し上のサービス」を「リーゾナプルな価格」で「スピーディー」に提供することこそが、顧客サービスであり、ひいてはビジネスの成功の秘訣なのではあるまいか・・・
事実、これだけグローバル化してくると、日本人の「過剰品質」好みも如何なものか・・・とも思う。
一方、「平均点よりずっと上ではあるが、それなりに高価なものを販売する」際には、それ以外の訴求点を予め見いだす必要がある。この場合、人々の上質世界、逆に言うと、アンチエイジング、美白、英会話、痩身術系などなどの、所謂、「コンプレックス市場」を巧みに訴求した製品やサービスを強く意識するという事となる。
なんだ、こんな簡単な事か・・・と思われるかもしれないが、小職にとっては衝撃的な気付きであった。
企業再生の草分けである著名な経営者と先日会食する機会があり、この事をお話したところ、これと似た事を、「鼻の差で継続的に勝ち抜く」重要性として以前から説かれており、「鼻の差論」として体系化されるそうである。難しいのは、鼻の差をずっとキープして勝ち続ける事であり、これこそが、経営であるとのお話に、「やはりそうか・・・」と膝を打った。
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