仕事柄多くのトップと面会する。特に事業家との面談は我々としても緊張する機会が多い。何故ならば、我々の提案や反応に即断、即決する傾向が強いからである。あるリスクを背負って高い志に向ってチャレンジしている方々が多く、面談は実に示唆に富んでいる。失敗も多いが、この体験を多く経験できるのは、我々の職業の醍醐味の一つである。そこで、以前から気付かされている事、それは「事業家とサラリーマン社長」、「政治家と政治屋」、「業者とTrusted Advisor」、世の中には似て非なるものが多く存在するという事である。日常こなしている仕事は一見よく似ているのであるが、世間の評価は思いの他厳しく、二者は峻別されているのである。
サラリーマン経営者にも勿論、立派で優秀な経営者は存在する。但し、本来の意味での事業創出または事業再生などで、「死の淵」から這い上がって来た事業家とは、会ったその瞬間から明らかに違うものを感ずる。何が違うのか上手く表現出来ないが、違うのである。
「政治家と政治屋」も明らかに違うのだろう。政治家が少なくなったと言われて久しいが、この点に関しては専門外の為、コメントは差し控えようと思う。
「業者とTrusted Advisor」、これは我々の場合の顧客や候補者との関係性で、日々反省させられるポイントである。業者と顧客という関係を超え、出来れば我々はTrusted Advisorになりたい、と常々考えそれを行動に移そうとしている。しかしながら、明らかに両者は峻別され、一旦業者として看做されたものが、その評価を変える事はかなり困難である。
一体、何が違うのだろうか?
個人的には「素直に考え、やるべき当たり前の事を行う」という事なのではないか?と最近考え始めている。上記を考え、淡々と実行する為には様々な障害が立ちはだかる。利害が相反し、政治的な色彩を帯び、かなり輻輳した人間関係や、個人の様々なインセンティブの中で、それをなかなか思い切ってやり切るのが難しい事は容易に想像できる。しかしながら、事業家、政治家、Trusted Advisorにはこれが出来る様な気がするのである。
これはなかなか興味深いテーマである。
「素直に考えること」これが意外に難しいのである。とかく雑音に惑わされ易い。自分にとっての顧客が一体何を望んでいるのか?それに焦点を絞り、皆で力を合わせ、顧客に尽くしきってみること、この極く単純なことを素直に考えてみることが出来ていない場合が多い。
「やるべき当たり前の事をタイムリーに実行する」、やるべき事であり、やりたい事ではない。例え、顧客、上司、パートナーの反対を押し切っても、やるべき事を熱意と信念でやり通す事、これもなかなか出来そうで出来ない事なのではないだろうか?
輻輳した難題の解決に、複雑な解決策を提示する事は容易いが、根本的な解決策に煮詰めが足りないケースが多く見受けられる。複雑な問題解決に、よく煮詰めたシンプルな解決策こそ、成功する確率が高い。「素直に考え、当たり前の事を行う」という姿勢にも多いに通ずる様に思える。
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