グーグル創業者ラリー・ペイジの有名な言葉に、「10倍の進化は10%の改善よりも易しい」という10X思考と呼ばれるものがある。10%改善ならば従来の発想と既成概念の中でやり繰り出来るが、10倍の進化となると発想の一大転換が必要となり、従来では思いも付かない手段や方法によって、大きな目標に全員が奮い立つことになり、結果大きなイノベーションに繋がるという考え方だ。実際、グーグルを含めGAFAMと呼ばれる米国のテックリーダーの時価総額は、年商の20倍、30倍を超え、500兆円を超えている企業も出現している。こういう爆発的な成長を「指数的成長」と呼び、このDigitalを使った大変革のことをDigital Transformation(DX)と呼ぶ。Transformationとは英語でもBig Wordでそう頻繁に使われる言葉ではない。一方、日本の大企業は、年商より時価総額が高い企業の方が少なく、20倍、30倍の時価総額を持つ企業は皆無であり、経営者はステークホルダーから特に責任を問われることがない。
複利計算式に「 f (t)=a (1+r)**t (**はべき乗の意)t=時間、r=利率、a=元本」というものがある。tは複利による運用年数を示す。これを複利で月運用で回すと年運用deの12倍となる。するとtはべき乗に掛かっているので、f(t)は指数的に莫大な数値となってゆく。これは東京大学のAI研究家松尾豊氏が提唱している考え方で、DXの本質をついている。すなわちtに当たる運用サイクル(納期、開発リードタイム、販売リードタイムなど)のPDCAサイクルを如何に速く回しtの値を最大化するか?すなわち、DXやAIXとは、デジタル技術やAIを使ってPDCAのサイクルを短くし、tの値を大きくするというのが本質である、との事。(元グーグルジャパン社長 辻野晃一郎氏のブログより)
もう一つのDXの一面は、ソフトパッケージ化である。テック企業は勿論、他業種企業の場合も、その業種特有の強みがそれぞれにある筈で、そのエッセンスをDigitalやAIを駆使して、ソフトパッケージ化し業種別ソリューションに組み込むのである。分かり易い例として、アニメとボーカロイド(音声合成技術)を組合せ全世界的ヒットを飛ばした「yoasobiのアイドル」がある。ソフトウェアは量産することで「限界費用が限りなくゼロに近づく」のは周知と通りだ。上記のPDCAサイクルを最速で回し、ソフトパッケージ化限界費用をゼロに近づける.
もう一点、社内のカルチャー変革が重要と言われている。マイクロソフトのCEOが大企業病が顕著に表れ始めた社員に徹底したのが、Growth Mindsetと呼ばれるもので、「チャレンジを尊び失敗を許容する文化の醸成である。これらの3つの要素を掛け合わせるのがDXの本質と言われており欧米や中国では衆知となっている。時価総額を大幅に延ばせない経営者は早々にお役御免になると言う。多くの日本の大企業の経営者が十分に理解出来ていないか、誤解している点ではないだろうか。
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