昔から感じていた事がある。良い仕事をやり遂げる際、貴方がクライアント側にいようと、業者側にいようと、またはパートナー同士であろうと、それぞれのキーマン同士が共に響きあう関係性、(これを「共振」と呼びたいのだが、)になっている事が多い。勿論、その様な関係性に成らなくとも、仕事をやり遂げる事は出来るのだが、あった方がお互いの達成感があり、次のビジネスに繋がって行くケースが多いのは事実である。
そういう関係性にあると、お互いの次の行動パターンや品質、スピード感などを予測する事が出来る様になる。これは、限られた予算、時間、リソースの中で、ある品質以上の価値を創造する際、大切な要素となる。逆にお互いがそういう関係性に無い場合、いろいろ工夫が必要だ。その過程にあるが、そこまでの信頼関係に達していない場合はまだ良い。その可能性が見いだせない場合は、お互いに苦労することになる。多くはプロジェクトリーダー同士などのケースだが、大きく分けて、相性の悪さと価値観の相違の二つに分かれる。相性は価値観の集積であるという見方も出来るが、まだ価値観の相違の方が関係修復の可能性が高い。何故なら相性の悪さは理屈では無い、生理的なものも含まれており、始末に悪いのである。
その様な事は意に介さず、淡々と仕事をこなしてしまう有能な方々も存在する。偉いなぁと思うが、少々冷たい感じが漂う。経営者とは本来その様な人種であるべきかも知れない。私はその様なところに拘りがあるから、この様な仕事を長年続けている。人と人との共振は思わぬパワーを発揮することがある。1プラス1が2どころか4や5以上のパフォーマンスを出すという意味だ。
逆に相性が悪いと1プラス1が2以下になってしまう。お互いに消しあってゼロということもあり得る。上司としてはこの様な部下の相性を見ながらチームを運営してゆく。本来組織とは、1プラス1が2以上にするために形成する筈だ。相性は英語でケミストリーというが、これは化学変化があるという意味で、お互いの良い点を掛け合わせ、最大の成果を引き出す為にマネジメントが存在する。この様なシンプルな理屈が、なかなか実現出来ないのである。
共振とは相性の良い進化形である。社内の人間同士でも難しいのに、顧客と共振するのはより難しいのではないか、と思われるかも知れないが、私にとっては、顧客との間の共振の方が実現し易い様に感ずる。これは毎日会っていると、恋愛関係になりにくいのと似ている。
最近久々に顧客のトップと共振した。パフォーマンスは良かったのだが、あまり共振し過ぎると癒着と見做される場合がある。なかなか難しいものだ。
君子の交わりは淡きこと水の如し、との格言があるが、あまり深入りせずに共振する事が出来れば、これは一流と言える。
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