経営という複雑系のオペレーションは、特にこういう変革期には大変難しい判断を次々に迫られるものである。ある経済評論家によれば、経営をゲームとして捉えると、リーマンショック以前と以後を比較すると、「初心者クラス」から「中級者クラス」を飛び越えて、いきなり「上級者クラス」の判断・スキル・行動力が必要になって来ている程の大きな変化である、との事。
確かに、それぞれが重要で二律背反の関係にある複数の経営の要素(エレメント)を、企業の成長ステージと市場競合の中で適切な打ち手を手順前後なく、次々に繰り出す必要がある。例えば、顧客単価の維持、無駄なコストカットと必要な顧客獲得コストの確保、研究開発投資やサービス開発、設備や人材などへの投資へのタイミング、などなど、考えれば考えるほどトップライン(売上)、ボトムライン(利益)、キャッシュフローの適正維持・発展の為には、それぞれが相反する重要なエレメントと言える。「あっちを立てればこっちが立たず」(笑)の連続の判断である。
ましてや、現在のめまぐるしいグローバルな環境変化と低成長の中で、リスクとオポチュニティをコントロールし、株価を維持発展させ株主に配当を出してゆくとなると、昨年末から市況の好転の兆しがあるものの、なかなか難しい上級者クラスのゲームであることは間違い無い。
さて、当社で用意している、「経営人材の基礎体力」を判断する基本テンプレートも、この5~6年変更なく使い続けてきたが、環境変化に応じて修正してゆく必要があるのではないか・・・と考え、久々に全面的な改定を加えた。企業の成長ステージやインダストリーの特性等々により、それぞれ経営スキルは個別であることは承知しているつもりだが、その中でも共通性があり、かつ重要なコアなスキルは、経営人材の基礎体力を測る上で、標準化され皆が共有すべきものではなかろうか、と以前から考えている。現に、欧米のグローバル企業ではトップマネジメントのスキルの標準化は大きく進んでおり、Carrying Skillとして人材がインダストリー間を行きかう事で、それが「経営者市場」を形成している現実には説得力がある。昨今、その人材層の高報酬を問題視している風潮はあるが・・・
詳細項目については紙面の関係上記載を控えるが、「基礎的な資質」、「専門性」、「経営能力」の大きく3分類し、それぞれを合計20項目に細分化及び集約化、各項目に5点配分し合計100点になる様便宜的に設計されている。これまで10年間、様々な多数の経営者人材とお付合いし使い込んで来たものに修正を加えている。経営者のスキルとは、経営者として如何に様々な環境下で困難に直面し、それを乗り切って来たか、という経験値に他ならない。「この状況はどこかで経験した・・・」というデジャヴの感覚である。しかしながら、やはり標準テンプレートは重要である。何故ならば、テンプレートによって、基礎的な経営スキル要素が、暗黙知から形式知に引き出されるからである。形式知に昇華しないと、経営陣の育成、継承は難しい。
我こそはと思われる経営人材諸兄は一度、当社にお越し頂き、100点満点中何点獲得できるかチャレンジしてみたら如何だろうか?必ずや何らかの参考になると思っている。
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