ここで言う接待は、華やかな接待行事の様なものや、ある事を有利に運ぶ為の酒席とも微妙に異なる。もてなすと言う意味で接待だが、我々のビジネスでのクライアントまたは、有力候補者との「秘めたる会話の場」である。適切な場所の設定にはいつも頭を悩ませる。
当然ながら、かなりコンフィデンシャルな内容を含むものだが、完全個室にしてしまうと息が詰まる。対象者の好みもある程度調べておく必要があり、その方にとっての最も適切な「場」を探すのである。
職業柄、都内のホテルの中華、和食、洋食などのリストはあり、その店の趣向やお酒の品揃えは大方見当はつく。但し、それぞれに功罪がある。望ましくは、個人経営の静かな割烹に、気の利く口の堅い女将がいて、手作りの料理を振る舞い、洋酒もワインも置いてあるところが理想である。しかし、近年そういう割烹は激減している。女将の世代交代もあり、また個人経営を支える力のあるタニマチの減少が影響しているかも知れない。
先日、外国の客人をこざっぱりとした焼き鳥屋に誘い絶賛を受けた。日本の焼き鳥文化を紹介したのである。また、フランス帰りの客人を、フランスパンの有名チェーン店で、バケットとハイネケンビールでもてなしたことがある。フランスではその店がどこにでもあり、大変懐かしがられた。
一見(いちげん)の店に入るのは大変リスクが高く、基本避けているが、入らざるを得ない時は緊張する。どの様なサービスを提供されるのか検討がつかないからだ。あまり高級な店に入るのも問題である。相手方にかえって気を使わせてしまうからだ。また、この様な高級店の接待料が日頃の請求書に含まれているのではないか?と想像されるのも愉快ではない。
全てはTPOであり、相手の方に対する関心と我々の誠意をどう具体的な形にするか、が問われる。なかなか難しいものだ。
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