このビジネスを始めて25周年を迎え、そろそろ本格的に事業承継の段取りを踏む時期が近付いている。業種や会社の規模如何を問わず事象承継とはなかなか厄介なものだ。決して否定的に言っている訳ではなく、厄介な作業を通して、会社の代表とは如何なるものか?を考えさせられるという意味だ。M&Aも検討の一つに入るとは言え、属人生が強く門外漢のマネジメントには到底出来る仕事ではなく、また公共性を伴うビジネスなので、必ずしも利益や成長がミッションという訳ではない。また事業価値(時価総額)が高いとM&Aの対象とされにくいのはご存じの通りである。弊社の場合、もし売却が成立したとしても、新たな経営者に共感できなければアセットである従業員は皆辞めてしまうだろう。また後述のグローバルの一員であることもM&Aの障害となると考えられる。
弊社は72拠点のグローバルネットワークを持ちながら各国の経営tはローカルに任せている、所謂パートナーシまップの会社形態を取っている。従ってローカルでも株式会社という法人格を名乗っていてローカルの代表者が株式の過半数を持つことがグローバルルールでも定められている。事業承継の株式の譲渡一つを取っても、将来経営を担う立場の対象者には株式は簿価ではなく時価での譲渡が必要である。万一の備えを考え資金的に余裕を持たせすぎると株価の時価は膨大に膨れ上がって譲渡がままならない。また、コンサルタントには半コミッション制の給与を支払っており、優秀なコンサルタントにとっては代表になると固定給となり割に会わないという点も考慮すべき点かも知れない。弊社は少数精鋭で代表者も売上責任を負う為、優秀なコンサルタントが経営の雑務を背負うと肝心の売上に影響が出るリスクもある。事業承継は何かと煩雑で恣意的な利害対立も発生し易いので、事業承継を専門に扱う第三者のコンサルティング会社も存在する。
大会社の場合は、経営と執行は分離されている事が多く、経営者が事業の売上・利益責任を直接担うことはない。民主的に第三者を含む中立機関が事業承継の大部分を担うことになるので経営に専念できる。それに比べ同族会社や小企業の場合、直接経営者が全て関わり、経営者と後継者が親族である場合も多く、事業承継が骨肉の争いに発展することもままある。「取締役設置会社」という概念が会社法にあり大企業、中堅企業では当たり前だが、同族会社、小企業の場合にはこの設置がない会社で経営者の独善がまかり通っている会社もある。株主総会で議決するごく少数の決議を除き、執行の大部分を取締役会(社外取締役を含む)で決議出来る様にして意思決定の公平性、透明性を担保している。設置会社であるか否かはどういう会社かを判断する一つの材料ともなっていて、事業承継などは取締役会で扱うトップ3の議題となる。
事業承継を通して「引き継ぎたいもの」また「時代に応じ変化しなければならないもの」は何かは重要なテーマであり、煩雑さに紛れて曖昧になりがちな点である。弊社では少ない人数ながらも、半年毎のオフサイトミーティングでこのテーマを扱っている。会社を長年続けてこれたのは、従事するこころある従業員のお蔭であると告白しなければならない。また事業承継を通して、独立した小組織の経営には「経営のいろは」がびっしりと詰まっていて、いろいろと「手触り感のある」経営の勉強になる。そしてそれが至らない自らを励まし支えて来てくれたのかな、との感慨もあるのである。
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