<マネジメントルームを知っているか?>
-「人の色気」の源泉
経営者人材として何人もの候補者にお会いする中で、その方の経歴、実績、今後のVisionなど申し分無いにも関わらず、何か肝心なものが欠けていると感じる瞬間がある。最近まで、それを「何とも言えないが、何かピンとこない。」とか、「何か経営陣としてのパンチというか、厳しさに欠ける。」という様な曖昧な表現となってしまうが、我々エグゼクティブ・サーチの人種からも同様の意見を聞くことがある。
最近になって、あるきっかけから気付きがあった。それは、「マネジメントルームを知っているか?」という事である。
経営会議などの緊迫した状況の中で、如何に自分を位置づけ、必要なときに必要な情報を簡潔にタイムリーに返してゆけるか?深く追求されればその論旨の裏付けをバックアップの資料の中からタイムリーに引き出すことが出来るか?
決して、相手を混乱させてしまう様な論議をしない。あるいは時に、経営陣から痛烈な批判とプレッシャーを与えられ、一旦打ちのめされる。しかし、それに対応する為、昼夜を問わずバックアップに奔走し、新たな解決案を別途提示し、承認を勝ち取る。よく昔は、「パイプでは無く、バルブになれ!」と言われたものである。パイプはいつも開いているが、バルブは必要な時に開くのである。
経営者人材というものは、自分が実際経営メンバーであるか否かは別として、常に経営会議などの場で訓練を受けているものである。所謂、「マネジメントルームを知っている」のである。その事から生ずる、ある意味での「ピーンと張った厳しさ」の一面を皆、持っているもので、その要素を感じないと我々エグゼクティブ・サーチとしては、何かもの足りない、と感じてしまうのではないだろうか?
これは天性で具備している方もおられるが、大方、実戦の中で育まれ洗練されてゆく、「体験知」の一つである。明るい性格や雄弁なコミュニケーション力や、時折見せる「人間としての可愛らしさ」(これは意外に多くの優秀な経営者人材が持っている特徴である。)の中に、キラリと光る厳しさの様なものが匂い立つものである。それは外見にも微妙な陰影を与える。私見ではあるが、私はこれを「人の色気」と呼んでいる。
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