AIの進化で、人間の仕事は、高度な創造性を伴う非定型型の仕事か、身体を使う第一次産業的な仕事に収斂されてゆくと言う。AIが理解しにくく、ロボットには複雑で環境変化に対応しつつ柔軟に判断し行動しなければならない仕事(勿論、経営職、プロデューサー職、監督業なども含む)’や、チームワークで達成するものなど、非常に人間的なものが残るという訳だ。
現代では分業化、ホワイトカラー化している仕事が多く、自分の範囲だけこなして終わりとなりがちだ。身体を使いエンドツーエンドを見渡して判断する仕事とか、自然の猛威の中で命を賭けて仕事をするとか、消費者やクライアントから叱責を受けたり褒められたり、とか言う「手触り感」のある仕事が激減していて、それらはAIやロボティックスでは代替出来ない。従って、長年大企業の管理職を経験し、壮年となってベンチャー経営などに乗り出すと、日頃想像もつかない泥臭く面倒くさい仕事や、Vision云々を言う前にキャッシュに行き詰まって首が回らなくなると言うケースをよく見聞きする。
日本のどこかしこでDXの言葉をよく聞くが、以前のブログでも書いたように、DXとは指数的成長を伴うもので、日本の企業は欧米、南サウス軍団に特に時価総額で大きく後れを取っている。円安も手伝って多くの日本の大企業にM&Aのリスクが迫っている。日本の土壌やカルチャーがこのDXを阻んでいる、という指摘も多い。それはGrowth Mindset(失敗を許容しチャレンジし続ける文化)と呼ばれるもので、時代の変遷期には特に必要なMindsetである。
ところが、日本の大企業のトップの殆どはプロパー社員出身てあり、「職業の選択」に関して切羽詰まって悩んだ経験が無い方々が圧倒的に多く、海外から見ると驚きだ。自分の市場価値を真剣に世に問うた経験がなく、海外の一流経営者と競合関係にあるという感覚に疎い。日本の政治家も同様である。その人種が戦後未曾有の変革期に企業変革や政治変革を課されている。笑えない矛盾である。
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