間違った方向に努力してしまうことがある。ゴルフのアマチュアの練習は身近な分かりやすい例である。多くのアマチュアが間違った方向に努力しており、10年経っても20年経ってもシングル入り出来ない。間違ったスウィングを練習で固めてしまうと、悪い癖が付き本道に戻るのに苦労すると言うおまけまで付く。最近の米国PGAのコーチ達はアマチュア、プロを目指す生徒を問わず、「ヒンジ&ホールド」という事を共通して教えているらしい。これはヒンジ(手首のコック)をほどかないで(ホールド)回転するというものだ。これを徹底的に訓練する。
会社の変革期に旧態然としたビジネスモデルで期末などに一所懸命売上実績を積み上げるケースがある。これにより、オールドビジネスからの脱却が遅れる。努力を継続出来るのは確かに一つの才能であると以前のブログで書いた。適当に努力しないで人生を渡り切ってしまう人もいる。しかし、真面目な方が間違った方向に努力する人ほど社会的に無駄なことはない。真面目な人ほど自分で仕事を作ってせっせと訓練してしまう。これら2つの単純な例からも、我々は日常的にその方向性を間違えている可能性がある。いにしえの教訓に学ぶ、或いは新しい世界の進化を捉え、それを自分の手に負える形に砕いて実行してみるなど、方向性を見誤ることを防ぐ術がありそうなものだ。
一つは自己バイアスの強さが影響していると言う。自分がこうと思い込んだ発想からなかなか抜け出すことが難しい。人には自分の思い込んだ方向性に合う情報だけを拾い上げ、その他は無視するという潜在的な行動傾向があり、これを自己バイアスと呼んでいる。それと自分がどう行動しているか客観視して吟味する事が出来ないことが多過ぎるのも一つの要因ではないかと思う。スポーツ、芸能のみならず、ビジネスの場面でも、我々は自らの姿をみることが出来ない。我々の発想が自己バイアスに傾き、行動や言動を客観視出来にくいのが、努力する方向性を見誤る二大要因ではないだろうか。プロの演技者達の多くが、自分の姿をビデオに撮り熱心にコーチと議論しているのが何よりの証左である。
若い頃は無駄な努力も肥しになり得るかと思うが、歳を重ねるにつれ「間違った方向への努力」は避けたいものだ。
最近のコメント